先週来、超々古い邦画をYoutubeで観てます。
一番古いのは、「猟銃」(松竹、原作・井上靖、山本富士子・岡田茉莉子・佐分利信・佐田啓二)
佐田啓二がでているのですから、50年位前になるのではと思います。
この映画が見ていて、アホらしくなって、20分で止めてしまいました。 おそらく芥川賞作家井上靖の原作としての価値観が先行した結果の作品だろうと想像できます。
あんな突拍子もいない、大人の恋愛のきっかけでスト―リーが展開する。 戦後の新上流社会を覗き見するような文芸作品と言うのは、とても多かった時代の作品です。
この時代は映画が娯楽の中心だったせいで、松竹文芸路線、日活はアクションと併映される二本立ての一本のモノクロの文芸路線が一般的でしたが、文芸作品でも特に都会派を意図とした時で、昭和30年代当時、高度成長以前に、現実離れした、富裕層が背景になるパターンです。
決まって、田園調布のこざっぱりした和洋折衷の家でなぜか、マントルピースがあって、そこで家の主人がガウンを羽織って、ブランデーを飲みなながら、パイプを吹かすパターンです。 その時のガウン下には、ネクタイをしたYシャツ姿で、スラックスにはキッチり折れ目が真っ直ぐについていました。
今初めて思いついてのですが、出で立ちは英国の貴族の普段着のイメージです。 これをパクったのでしょう。
戦後の混乱期を経て、10数年、華族の殆どは没落していて、このような暮らしができるのは、戦災を免れた、山の手の一部に住む起業家の成功者であるとしか。想像できません。(実際にはありえない)
そこにほとんど似たものの男女が出てくる、今様に言えば不倫物で、テレビのヨロメキ昼メロのハシリかもしれません。
よくぞこんなに、非日常的な、リアリティのないものが、大手を振っていたものかと、呆れてしまいます。 そして50年後、韓流ドラマが、その焼き直しで日本を席巻します。
それよりも、その後に見た「下妻物語」劇場映画版「笑いの大学」のほうが本当に面白かった。
30年台全盛であった、リアリティの無い駄作の文芸路線は、やがて、テレビに持って行かれ、映画は「ヤクザ映画」に走りだしたとすれば、なんか理由が見つかっような気がします。
このエネルギーがやがて「仁義なき戦い」を生み、伝統芸能部門を併映できた松竹は、「寅さん」で松竹喜劇を確立し、宝塚を持つ東宝は駄作を連発させ、日活はピンク、大映、新東宝は倒産、共に映画スタジオ経営で、テレビの下請けとなりましたとすれば、戦後の邦画史の一端が解説できたようなものです。
猟銃 https://www.youtube.com/watch?v=2vYU5ufxDoc
下妻物語 https://youtu.be/gKIQuB4AowQ
笑の大学 https://www.youtube.com/watch?v=zU9e6o3NLw8
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